過払い金の返還請求をするにあたって必要となる費用
1 弁護士費用
過払い金返還請求を弁護士に依頼した場合、弁護士費用の支払いが必要となります。
弁護士費用の支払い時期や計算方法は、弁護士事務所ごとに異なるため、依頼をする前にしっかりと確認をしなければなりません。
一般的には、弁護士費用は、事件に着手した時点で先払いで支払う必要のある着手金と、過払い金の回収額に応じて計算される成功報酬の二本立てになっていることが多いです。
ただし、弁護士事務所によっては着手金を0円とする完全成功報酬型で過払い金返還請求の依頼を受けている場合もあります。
2 その他の実費について
また、弁護士が貸金業者に過払い金の返還を請求する場合、書面を相手方の業者とやり取りしたり、FAXを送ったり、資料をコピーして依頼者に報告したりといった事務作業が必要となります。
これらの、コピー代やFAX代、郵便代などの実費も、過払い金の返還請求をする場合に必要となる費用の一つです。
3 裁判になった場合
過払い金をできるだけ高い金額で回収しようと思うと、裁判所に訴訟を起こす必要が出てくる場合があります。
このような場合には、請求額に応じた収入印紙を予納したり、郵便切手を予納するなど裁判手続きに必要な費用を負担しなければなりません。
過払い金の相談をするにあたり必要となる資料
1 完済過払い(借金が残っていない場合の過払い金請求)の場合
借金を完済した状態で、過払い金の請求をする場合には、相手方となる貸金業者を特定することができる資料が何か一つあれば、それ以外に特に何らの資料がなくても、手続きを進めていくことが可能です。
過払い金の有無や金額を確認するには、詳細な取引履歴(いつ、いくら借りて、いくら返済したかの履歴のことです。)の取り寄せが必要ですが、債務を完済した状態であれば、弁護士から直接相手方業者に連絡を入れて取引履歴を取り寄せるなどしても、お客様の信用情報が傷つくなどの不利益が生じる恐れが少ないため、弁護士の方で過払い金請求に必要な資料を相手方から取り寄せさせていただくことができます。
反対に、「昔、借金の返済を続けていた時期があるのだけど、かなり昔の話なので、どこの業者に返済していたのかわからない。」というような場合には、そもそも、どの業者に問い合わせをしたらいいか分らない状態ですので、弁護士が依頼をうけても必要な資料を集めにかかることができません。
この場合には、過去の預金通帳に残っている返済の記録や、ATMから返済したときの領収書などの痕跡をたどって、お金を借りていた業者を特定しなければなりません。
そのため、過払い金を請求してみたいけれども、どこの業者からお金を借りていたか忘れてしまったというような場合には、返済をしていた当時の預金通帳等の資料をできるだけたくさん持って、事務所に相談に来ていただくようお勧めいたします。
どうしてもそのような資料が見つからない場合には、可能性のありそうなところに通知を出す方法もなくはありません。
2 借金が残っている場合
借金が残っている場合でも、相手方とする債権者の特定さえできれば、弁護士から連絡をいれて取引履歴を取り寄せて過払い金請求をすることは可能です。
ただし、残債務がある場合には、弁護士から過払い金返還請求に関する通知を債権者に入れてしまうと、残債務について約定通りの返済を拒んだものとして、信用情報機関に事故情報が登録されてしまう恐れがあります。
そのため、信用情報を傷つけずに、過払い金の有無についてだけ相談をしたいという要望がある場合には、相談者の方自身で、債権者に連絡をいれて取引履歴を取り寄せたうえで、弁護士事務所までご相談いただくことをお勧めしております。
過払い金の請求にあたってかかる期間
1 契約から取引履歴の取り寄せまで
過払い金の返還請求について弁護士が依頼を受けた場合、弁護士が最初に行うことは、貸金業者に過払い金返還請求について依頼を受けた旨の通知(受任通知)を発送し、過去の貸し借りの取引履歴について、資料の開示を求めることです。
貸金業者には、取引履歴の開示義務がありますので、受任通知を送ってから1か月程度で取引履歴が開示されることが一般的です。
ただし、相手の業者によっては取引履歴の開示までに数か月かかることもあります。
2 取引履歴の開示から引き直し計算まで
貸金業者から取引履歴の開示を受けたら、次に行うことが、引き直し計算です。
引き直し計算とは、利息制限法の上限利率の範囲内で利息を計算した場合に支払うべきだった利息及び元金の返済はいくらであったのかを計算し、実際に返済として支払った金額との差額を計算して、過払い金の金額を確認する作業です。
引き直し計算に要する時間は、取引履歴の分量によって異なります。
早ければ1時間もかからずに完了する場合もありますし、取引履歴が多く、データ入力に時間がかかる場合には1~2週間程度必要になる可能性もあります。
3 示談交渉
引き直し計算がおわったら、いよいよ貸金業者との交渉開始です。
交渉事は相手のあることであるため、どのくらいの時間がかかるかをはっきりと断言することはできませんが、おおむね1か月から3カ月程度の期間で、裁判外ではこれ以上の金額の増額は見込めないというところまで金額の交渉が終わることが多いです。
4 示談による解決
もし、交渉の結果、示談になれ、ばそこからは示談の条件で決めたところに従い、過払い金が振り込まれるのを待つだけです。
和解成立から、何か月後に過払い金が返金されるかは示談の条件次第ですので、示談交渉においては返金額だけでなく返金時期も重要なテーマの一つになります。
5 示談が成立しない場合
示談が成立せず、裁判となった場合には、過払い金の回収が完了するまでに、さらに長期間を要することとなります。
裁判となった場合には、判決を得るまでに半年以上の期間を要することも稀ではありませんが、中には、裁判手続きの過程で、相手方の業者から、示談段階よりも有利な条件の和解案が提案されて、早期で裁判が終了することもあります。
過払い金の発生の可能性がある人
1 過払い金が発生する仕組み
どのような人に過払い金が発生する可能性があるかということを理解するには、その前提として、過払い金がどのような仕組みで発生するのかを理解する必要があります。
過払い金とは、利息制限法の上限を超えて、支払い過ぎた利息のことです。
以前は、消費者金融会社が貸付をする際に利息制限法の上限までしか利息をとれないのか、それとも、出資法の上限である年利29.2%まで利息を取って貸し付けをできるのかという点が、解釈によって曖昧であった時期がありました。
利息制限法の上限金利を超えて出資法の上限金利に達するまでの間の利率をグレーゾーン金利というのですが、かつては、このグレーゾーン金利での貸し付けがなされていました。
そして、その後、裁判例の蓄積等により、利息制限法の上限を超える利息の受領分は、貸金業者の不当利得になるという判断が確立していったため、利息制限法を超える利息部分の返還請求ができることが明確になりました。
これが、過払い金が発生する仕組みです。
2 過払い金が発生する時期
上記のとおり、グレーゾーン金利での貸し付けがなされていた場合に、利息制限法を超える利息部分が不当利得返還請求の対象となるという裁判例が確立して以降は、消費者金融会社は、貸し付け利率を、利息制限法の上限金利の範囲内に変更しております。
消費者金融会社ごとに細かな時期は異なりますが、おおむね平成22年ごろまでには、消費者金融会社は貸し付け利率を利息制限法の範囲内に変更しています。
そのため、過払い金が発生するのは、それ以前からずっと借り入れと返済を継続していた方ということになります。
3 借入先について
また、銀行の貸出金利は、上記のような過払い金をめぐる裁判例が確立する以前から、利息制限法の範囲内でしたので、銀行から借り入れをしていた分について、過払い金が発生する可能性はないと考えられます。
いわゆるキャッシングによる借入ではなく、クレジットカードを利用してショッピングをしたことによる債務についても、もともとグレーゾーン金利が存在していなかったため、過払い金が発生する可能性はないと考えられます。
どうして過払い金が発生するのか
1 過払い金とは
過払い金というのは、支払い過ぎた利息のことです。
「支払い過ぎた」というのは、利息制限法の上限金利を超えて支払い過ぎたという意味です。
金銭消費貸借契約を結ぶ際に、債権者が債務者から利息をとること自体は、法律上問題なく認められています。
もっとも、法律上、債権者が債務者からもらってよい利息については、利息制限法という法律が設けられており、債権額が10万円未満の場合には年利20%、10万円以上100万円未満であれば年利18%、100万円以上であれば年齢15%と定められています。
したがって、このような利息制限法の制限を超える利率で利息の支払いが行われていた場合、この利息の支払いは、法律上の原因なく債権者が受け取ったものとして不当利得になります。
このように、利息制限法の上限金利を超える利息の支払いがなされた場合に、当該支払い過ぎた利息部分の不当利得返還請求を求めるのが、過払い金返還請求です。
2 グレーゾーン金利について
なお、利息制限法とは別に、出資法という法律もあり、出資法の制限する上限の金利は年利29.2%でした。
そのため、消費者金融が貸付をする際に利息制限法の上限までしか利息をとれないのか、出資法の上限である年利29.2%まで利息を取って貸し付けをできるのではないかという点が、解釈によって曖昧になっていた時期がありました。
このような、利息制限法の上限金利を超えて出資法の上限金利に達するまでの間の利率を「グレーゾーン金利」と呼びます。
現在では、裁判例の蓄積及び法改正によって、合法的に業務を行っている貸金業者は利息制限法の範囲内で貸付をしていますが、過去には、このグレーゾーン金利の利息を取って貸し付けをしていた業者もたくさんありました。
そのため、そのような業者から過去に借り入れをして返済をしたことがある債務者の方には、過払い金が発生している可能性があります。
3 まずはご相談ください
過払い金の発生する仕組みは以上のとおりですが、実際に、過払い金が発生しているか否かは、債権者から資料をとって内容を検討してみないと判断することはできません。
過払い金が発生しているか気になる方は、まずは、当法人までご相談ください。
手元に資料が残っていない方の過払い金返還請求
1 過払い金返還請求には過去の取引履歴が必要
過払い金返還請求をする際に必要となる資料として、過去の取引履歴があります。
過払い金とは、利息制限法を超えて支払い過ぎた利息分の返還を求める請求です。
そのため、いついくら借りて、いついくら返していたのかという、過去の取引に関する情報が必要となります。
2 必要な資料は取引履歴の開示で用意できる
もっとも、1回1回の借り入れや返済の記録を、すべてもれなく手元に残すことができている債務者の方はまれです。
そのような場合でも、貸金業者は取引の履歴を内部で保管していますので、貸金業者に対して取引履歴の開示を求めることにより、過払い金返還請求に必要な資料を用意することができます。
3 取引履歴の開示は貸金業者の義務
なお、取引履歴の開示を請求しても、貸金業者に拒否されるのではないかと不安に思う方もいるのではないかと思います。
もっとも、貸金業法第19条の2に「債務者等又は債務者等であつた者その他内閣府令で定める者は、貸金業者に対し、内閣府令で定めるところにより、前条の帳簿(利害関係がある部分に限る。)の閲覧又は謄写を請求することができる。この場合において、貸金業者は、当該請求が当該請求を行った者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き、当該請求を拒むことができない。」と定められているように、取引履歴の開示は、貸金業者の義務となっています。
もしも、この取引履歴の開示請求を、貸金業者が相当な理由がないのに拒んだ場合には、100万円以下の罰金という刑事罰まで用意されています(貸金業法49条6項)。
4 当法人にご相談ください
このように、貸金業法上、取引履歴の開示は義務になっています。
そうは言っても、実際に、貸金業社に電話をかけて履歴の開示を求めるという作業は、一般の債務者の方にとって、気軽にできることではないかもしれません。
当法人にご依頼いただければ、弁護士が貸金業社に連絡を入れて、過払い金計算のために必要となる取引履歴の取り付けを行うところから、過払い金回収のサポートをいたします。
大阪で過払い金請求をご検討中の方は、お気軽に当法人までご相談ください。
過払い金返還請求における当法人の強み
1 豊富な経験
当法人では、過払い金の返還請求を含めて、借金で苦しんできた債務者の方のサポートに取り組んできました。
一人一人の所属弁護士が、過払い金の返還請求について経験を積むだけでなく、多くの弁護士が所属する事務所の規模を活かして、社内で毎月研修会を開き、個々の弁護士の蓄積した経験を共有して事務所全体で経験値を向上する取り組みも導入しています。
これらの活動をとおして、当法人では、過払い金の返還請求について、事務所単位でも個々の弁護士単位でも、豊富な経験を蓄積してきました。
2 総合的な債務整理方針のご提案
また、当法人では、過払い金の返還請求だけでなく、その他の自己破産や個人再生等の債務整理事件についても豊富な実績を有しています。
過払い金の返還請求についてご相談いただいた際に、単に「いくら取り返すことができるか。」という問題だけでなく、例えば、その他に借金などがまだ残っている方の相談であれば、過払い金の返還金を活かして、借金問題全体をどのように解決していくことが考えられるかという、総合的な観点からのアドバイスが可能です。
3 過払い金や借金のことは当法人へ
大阪で過払い金や借金の整理をお考えの方は、弁護士法人心 大阪法律事務所までご相談ください。
過払い金返還請求についての専門家選びのポイント
1 弁護士費用の仕組み
弁護士費用は、弁護士事務所ごとに異なります。
金額の高い低いだけでなく、弁護士費用が発生する仕組みも区々です。
事務所によっては、弁護士が依頼を受けたらすぐに「着手金」の支払いを求められることもあります。また、着手金0円の成功報酬型の事務所でも、最低報酬として、回収額にかかわらず一定額の支払いを求められる場合もあります。
他方で、完全成功報酬型で、過払い金が回収できなければ単純に弁護士費用も0円になる仕組みを導入している事務所もございます。
また、事務所ごとで、裁判になった場合に追加着手金が発生するか否か、裁判所に一回出廷するごとに何円程度の出廷日当がでるかなど、細部に違いがあります。
弁護士に依頼する前に、必ず、依頼先の弁護士事務所がどういう弁護士費用の仕組みをとっているのかを確認し、その他の事務所と比較して、自分の希望に合っているかをチェックするようお勧めいたします。
2 取扱件数
また、過払い金返還請求で成果をあげるためには、貸金業者ごとの傾向を把握しておことが重要です。
過払い金返還請求をした場合に、「この債権者であれば、裁判外でこの程度の水準まで支払ってくることが多い。」、「この債権者であれば、裁判をした場合、この程度の和解案を出してくることが多い。」といった見通しは、数多くの経験を積んで養われていくものです。
この点で、過払い金返還請求の取り扱い実績の多い事務所の方が、経験やノウハウの蓄積がされていると考えることができます。
3 専門家の人柄
過払い金返還請求は、場合によっては、数百万円のお金を請求するものですので、とても重要な事柄です。
そのため、能力の高い専門家に依頼することも重要ですが、「この専門家であれば、安心して依頼できる」と感じることができるかも大切なポイントです。
もし、能力は高いものの、いまいち信頼できない専門家に依頼してしまった場合、少し専門家と連絡が取れないだけで、不安や焦りが生じてしまうことがあるなど、精神衛生上よくないこともあります。
そこで、実際に相談をして、専門家の人柄をチェックすることが大切です。
相談の際に、親身に話を聞いてくれるか、費用の説明や、過払い金返還請求によって発生し得るデメリットなども、丁寧に説明してくれるかなどをチェックしましょう。
4 過払い金に関するご相談
大阪で過払い金返還請求をご検討中の方は、弁護士法人心までご相談ください。
過払い金の無料診断について
1 過払い金に関心がある方へ
弁護士法人心を始めとして、様々な事務所で過払い金について無料で相談にのり、過払い金の有無等についてチェックするサービスを提供しています。
過払い金について、興味関心のある方は、お気軽にこういった無料相談を利用していただくとよいと思います。
もっとも、インターネット上のツールなどで、過払い金の有無や額について自動的に計算するようなサービスについては、正確性に限界がありますので注意が必要です。
過払い金の有無を正確に知りたい場合は、専門家に相談することをお勧めします。
また、過払い金返還請求は、時効になってしまうと、請求が難しくなるため、専門家に相談するかどうかを迷っている方は、できるだけ早くに相談だけはしておいて、今後の見通しについて、アドバイスを受けることが大切です。
2 過払い金の額は細かな事情によって異なります
過払い金の有無については、①借入の開始時期(おおむね2007年~2010年よりも以前)、②借入をしていて貸金業者名、③ショッピング枠のみの利用ではなかったことなどの目安で、過払い金が発生している可能性の大小を診断することができます。
また、当時設定していた借入限度額や借入の期間などの情報があれば、ある程度の過払い金額を推測することもできるかもしれません。
しかし、過払い金は支払った利息の額によって決まってくるため、実際にいくら借りて、いくら返してということを、確認しないと、過払い金の金額まで推測するのは困難です。
たとえば、同じように100万円借りていた場合でも、月々の返済額がいくらに設定されていたのかなどの事情によって、過払い金の発生額は異なります。
3 借り入れの資料がない場合、どうすればいいか
借り入れの時期や、契約の内容等は、当時の契約書などを見ればわかりますが、そういった資料が全くない場合は、どうすればいいでしょうか。
もし、資料がない場合、貸金業者に、取引履歴の開示請求をすることが考えられます。
取引履歴には、これまでの貸付や返済などの情報が記載されているため、過払い金が発生するかどうかの重要な資料になります。
取引履歴の具体的な取得方法については、色々な注意点もありますので、専門家からアドバイスを受けつつ、進めていく方が安心です。
4 当法人にご相談ください
すでに債務を完済している場合であれば、過払い金が発生しているかについてある程度の目途が立てることができたら、あとは、「過払い金がどのくらいでるのか?」について思い悩むよりも、弁護士に依頼して貸金業者に受任通知を発送し、取引履歴を取り寄せて過払い金が実際にどのくらい発生しているのか計算をしてしまったほうが、早く結論にたどり着くことができます。
なお、「弁護士費用を払って、過払い金が0円だったらどうしよう?」という不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、弁護士法人心では、完済している場合には、完全成功報酬方式でご依頼をいただいておりますので、ご安心ください。
大阪で、過払い金について興味関心がおありの方は、ぜひ弁護士法人心 大阪法律事務所までご相談ください。
過払い金の計算方法と具体例
1 過払い金の計算方法
過払い金とは、利息制限法の上限金利を超えて支払い過ぎた利息のことです。
これらの支払い過ぎた利息は、民法上貸金業者の不当利得となるため、債務者は返還を請求することができます。
過払い金の発生する仕組みは以上のようなものですので、過払い金の計算は、以下のような流れで計算することができます。
①実際にいくら借りて返したのかという取引の履歴を確認する
②借りたお金に対して利息制限法どおりの利率が適用されていれば、いくら返済した時点で返済義務がなくなっていたのかを計算する
③実際に返済した総額から②の金額を控除する
2 過払い金の具体例
具体例として、あえて借り入れを1回、返済を1年後に1回という形に単純化して説明をすると、例えば、50万円を年利25%で借りて1年後に返済をすると、返済額の総額は元本50万円+利息12万5000円の合計62万5000円になります。
しかし、50万円の元本に対して利息制限法上認められる上限金利は18%までですので、本来、認められる利息は9万円までとなります。
この場合、差額の3万5000円が過払い金となります。
3 実際の過払い金の計算はもっと複雑です
もっとも、実際の過払い金の計算では、借り入れも返済も複数回行われ、そのたびに元本額の変動にあわせて利息の額も変動します。
そのため、過払い金の実際の計算はエクセル等の表計算ソフトを利用して行わないと、正確に計算をすることは非常に煩雑で困難な作業となってしまいます。
過払い金の請求をご検討の方は、ぜひ一度当法人までご相談ください。
弁護士に過払い金返還請求を依頼するメリット・デメリット
1 弁護士に過払い金返還請求を依頼するメリット
⑴ 複雑な計算を任せることができる
過払い金の請求を行うためには、まず貸金業者から必要な資料を取り寄せ、過払い金が発生するかどうかの計算を行う必要があります。
過払い金の請求に慣れていない方にとって、過払い金の計算を行うことは時間や労力の面で大きな負担となる場合があります。
弁護士に依頼すれば、こういった複雑な手続きを任せることができます。
⑵ 貸金業者との交渉を任せることができる
貸金業者は、日常的に弁護士と交渉を行っているため、過払い金の交渉については、非常に詳しい立場にあります。
仮に、正確に過払い金の計算をして、過払い金の請求をしたとしても、何らかの理由をつけて、貸金業者側に有利な条件で示談をまとめようとしてくる可能性があります。
弁護士にご依頼いただければ、法的に適切な過払い金の返還を受けるための交渉を進めることができます。
⑶ 裁判を任せることができる
交渉をしても貸金業者との折り合いがつかなかった場合は、貸金業者と裁判をすることになります。
裁判をするとなれば、法的な根拠や証拠で裁判官を説得する必要があります。
仮に、適切な主張や証拠を用意できなかった場合、本来返還してもらえるはずの過払い金が、戻ってこないという結果になるおそれもあります。
弁護士に依頼すれば、裁判官を説得するに足りるだけの証拠を用意し、適切な対応が可能です。
⑷ 過払い金の額に制限がない
司法書士は、過払い金が140万円を超える案件は扱うことができません。
そのため、司法書士に過払い金返還請求の依頼をして、過払い金の計算をした結果、140万円以上の過払い金が出た場合は、弁護士に依頼し直さなければなりません。
そうなると、司法書士に費用を払って、さらに弁護士にも費用を支払うことになってしまいます。
そのため、過払い金の依頼をするのであれば、最初から過払い金の額に制限がない弁護士に依頼した方が費用を抑えられる可能性があります。
2 弁護士に過払い金返還請求を依頼するデメリット
弁護士に依頼するデメリットがあるとすると、弁護士費用が必要になる点です。
しかし、適切な対応ができなかったがために、示談交渉や裁判で不利な結果になってしまう可能性を考えると、弁護士費用はそこまで大きなデメリットとは言えないかもしれません。
過払い金と時効
1 過払い金の請求には期限があります
過払い金は、いつまでも請求できるわけではありません。
一定期間が経過すると、時効によって、過払い金の請求が難しくなります。
そのため、過払い金の請求は、できるだけ早い段階で行う必要があります。
ここでは、過払い金の時効について、ご説明いたします。
2 いつから時効の期間がスタートするのか
⑴ 10年間の期限
過払い金の請求は、「請求できる時から10年」で時効になります。
請求できる時という言葉からは、過払い金が発生した瞬間から時効がスタートしそうな印象がありますが、実際には、貸金業者などと最後に取引をしたときからスタートします。
最後の取引は、通常借金の完済日になることが多いです。
⑵ 5年間の期限
過払い金には5年という期間制限もあります。
具体的には、「過払い金の請求ができることを知ってから5年」が経過すると、時効になります。
過払い金の請求ができると知っているにも関わらず、請求をしない場合は、短期間で時効が来てしまうということです。
もっとも、2020年3月31日より前に、借金の完済をしている場合は、最後の取引から10年で時効になります。
3 完済から10年が経過しても、時効が成立していない可能性も
借金の完済から10年が経過したとしても、同じ貸金業者から新たに借り入れをしている場合、時効が成立しない可能性があります。
具体的には、複数回の取引が、連続した1つの取引とみなされれば、最後の借り入れの完済時から10年で時効になります。
どのような場合に、複数の取引が連続し1つの取引とみなされるかは、専門家に相談しましょう。
4 時効が近い場合の対処法
時効が迫った場合は、とりあえず貸金業者などに、過払い金の請求を行います。
そうすることで、6か月間は時間を稼ぐことができます。
その間に、過払い金がどれくらい発生しているかを計算したり、裁判の準備を行うことになります。
裁判をすれば、時効の心配はいったんなくなり、勝訴すれば、さらに10年間期間が延長されます。
過払い金について弁護士に依頼した場合と司法書士に依頼した場合の違い
1 原則として司法書士は過払い金の案件を扱うことはできない
過払い金の案件を扱うということは、ご依頼者様の代理人として、貸金業者などと交渉をしたり、裁判をすることを指します。
しかし、ご依頼者様の代理人として、貸金業者と交渉したり、裁判をすることは、原則として弁護士にのみ認められた権限です。
つまり、一部の例外を除き、法律上、司法書士は過払い金の案件を扱うことを認められていないのです。
2 過払い金を扱える司法書士もいる
法務大臣の認定を受けた「認定司法書士」であれば、例外的に、過払い金の案件を扱うことが認められています。
認定司法書士になるためには、一定の研修を受けて、試験に合格する必要があります。
ただし、認定司法書士と弁護士では、以下でご説明するように、権限に大きな違いがあります。
3 認定司法書士は140万円までの案件しか扱えない
司法書士が代理人になることができるのは、請求額が140万円までの場合のみです。
しかし、過払い金をいくら請求できるのかは、実際に過払い金の依頼を受けて、過払い金の計算をした後に初めて分かります。
そのため、認定司法書士に過払い金請求の依頼をした後に、140万円以上の請求ができると分かった場合、改めて弁護士に相談をしなければならなくなります。
その場合、途中まで業務を行った司法書士に費用を支払った上で、さらに弁護士に追加で費用を支払うことになり、余分に費用が発生する可能性があります。
4 認定司法書士は簡易裁判所でしか裁判を行えない
認定司法書士は、簡易裁判所でのみ、代理権が認められています。
そのため、もし貸金業者側が判決に不服を申し立てて、地方裁判所で審理を行うことになった場合、改めて弁護士に依頼する必要があります。
貸金業者側も、そのことを知っているため、「判決になったら控訴する」ということを交渉の材料に使ってくる場合があります。
5 弁護士であれば最初から最後まで対応が可能
弁護士は、過払い金の金額がいくらであっても、代理人として業務を遂行できます。
また、貸金業者が控訴をしたとしても、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所のいずれにおいても、代理人として活動が可能です。
弁護士に過払いの相談をするタイミング
1 過払いの相談は、今すぐにでも行いましょう
過払い金を返せという権利は、永続する権利ではなく、一定の期間が過ぎると、時効になってしまいます。
時効になれば、過払い金の請求が認められる可能性は、原則としてなくなります。
たとえば、「500万円の過払い金が発生している」という状況で、過払い金の請求をしたとしても、「時効なので払いません」と言われてしまうと、時効が完成していれば、500万円の権利を失ってしまうということになりかねません。
そういった事態を防ぐためにも、過払い金の請求に関する相談は、すぐにでも行うべきです。
2 借金を返済中の方も過払いの相談をしましょう
過払い金は、借金を完済した人しか、請求ができないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、借金の返済中であっても、過払い金が出る可能性があります。
たとえば、正確性を欠く説明にはなりますが、借金が50万円残っているものの、利息を200万円余分に支払っていた場合、借金との差し引きで、150万円の過払い金が発生します。
そのため、借金を返済中の方も、早めに専門家に相談しましょう。
3 「過払い金無料診断サービス」をご利用ください
「早く相談することが大事なのは分かるけど、過払い金が発生するのかどうか分からないし、相談の費用も不安」という方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方は、私たちがご提供している「過払い金無料診断サービス」のご利用をお勧めします。
実際に過払い金が発生するかどうかは、資料を集めた上で、利息の払い過ぎがないかを計算することになります。
具体的には、取引履歴を取り寄せ、過去の借入額や、返済額などから、細かく計算を行います。
一般的に、過払い金が発生する場合は、長期間の取引を行っているケースが多いため、過払い金の計算はかなりの手間になります。
そこで、私たちは「過払い金無料診断サービス」というサービスをご提供させていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。
4 過払い金の請求をするかどうかは、専門家と相談してきめるべきです
過払い金の請求を、専門家に依頼しない場合、思わぬ不利益を受けることがあるため、注意が必要です。
たとえば、過払い金でショッピング枠の完済ができても、キャッシング枠の借金が残ってしまった場合、ブラックリストに登録される可能性があります。
もし、ブラックリストに登録されるとしばらくの間、クレジットカードを作れなくなったり、新たな借り入れが難しくなるなどの不利益があります。
このように、過払い金の請求を行うかどうかは、慎重な判断が求められます。
そのため、過払い金の請求を検討している場合は、まず専門家に相談した上で、適切な方法を選択することが大切です。
私たちは、複数の担当弁護士らで、「過払い金返還請求チーム」作り、いつでも迅速にご相談いただける体制を作っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
過払い金における直接面談義務
1 直接面談義務とは
直接面談義務とは、債務整理事件について弁護士が債務者の方から依頼を受けるにあたって、弁護士が、債務者の方と直接会って説明を行う義務のことを指します。
弁護士は、契約の際、重要な事項や、契約内容を、相談者様に説明します。
一般的な民事事件の場合には、契約内容等の説明の方法は、電話などでもいいことになっていますが、借金関係の相談の場合は、直接会って説明しなければならない場合があります。
2 直接面談義務が必要な理由
なお、一昔前は、一部の弁護士が、一度もご依頼者様と会うことなく、案件の処理をし、中には、全ての手続きを事務員に任せているようなケースがありました。
その結果として、法的な知識が不十分な事務員が、不適切な処理をしたため、ご依頼者様に不利益が発生する事態も発生しました。
しかし、弁護士に依頼して債務整理をすることは、信用情報機関の登録などをとおして、個人の信用情報にキズをつけることになりますし、自己破産などの裁判所を利用した債務整理をした場合には、そのような手続きを取ったことを官報に公告されることになります。
このような、債務整理のリスクやデメリットを十分に理解せずに、債務整理を行うことは、債務者の方にとって不測の不利益をもたらす恐れのあることですので、避けなければなりません。
そういった経緯から、借金関係の相談については、一度は弁護士が直接会わなければならないことになりました。
3 過払い金で直接面談が不要なケースと、必要なケース
ただし、過払い金が発生する案件の全てで、直接面談義務が課せられるわけではありません。
借金を全て返済している場合には、直接面談をする必要はありません。
借金を全て返済している、完済状態の過払金請求であれば、借金が残っていないため、信用情報が傷つくなどの不利益が依頼者の方に生じません。
そのため、完済過払いの案件では、直接面談は義務ではないと解されています。
他方、まだ借金が残っているケースは、直接面談が必要です。
4 直接面談義務を実施している弁護士に相談しましょう
過払い金の相談を弁護士にする場合、最初の問い合わせは電話やメールなどで行うことが多いと思います。
そのときに、どのような借金があるのか、いつから借り入れをしていたのか、どのようなペースで返済をしてきたのかなどを伝えることになります。
仮に、債務が残っている状態にもかかわらず、直接面談をしない方針の事務所だった場合は、注意が必要です。
弁護士会の規則で定められた義務である直接面談義務を守らない事務所であれば、かつて一部の法律事務所で横行した不適切な事件処理をしている可能性があります。
そのため、過払い金の相談をする場合は、直接面談義務を実施している弁護士に相談しましょう。
過払い金返還請求の流れ
1 過払いが発生するかどうかを、弁護士に相談
貸金業者に対し、借り入れや返済をしたことがあったとしても、必ずしも過払いが発生するとは限りません。
そこで、まずは過払いが発生するかどうかの見通しを立てる必要があります。
具体的には、弁護士が、貸金業者との取引の期間や、現在の借入残高などの情報から、過払い金が発生するかどうかの見通しを立てます。
取引についての記録や大まかな記憶がない場合には後述する取引履歴の確認をする必要があります。
大まかな目安として、平成22年以降に借り入れを開始した場合には、利息制限法の上限金利を超える貸付が行われた可能性は少ないと判断されるため、過払金が発生しないだろうと見通しを立てることになります。
また、お金を借りたのが銀行や信用金庫などであった場合や、キャッシング枠の利用がなく、クレジットによるショッピングしか利用していなかった場合にも、利息制限法の上限金利を超える貸付が行われたか可能性が低いため、過払金は出ないだろうと見通しをたてます。
反対に、かなり昔から、消費者金融のキャッシングを利用して、借り手は返し手を繰り返していた場合には、過払金が発生している可能性があると見通しを立てることになります。
2 貸金業者に対し、取引履歴の開示請求
相談段階での見通しが正確かどうかを判断するため、貸金業者に対し取引履歴の開示請求を行います。
取引履歴には、これまでの借り入れの履歴や返済の履歴が記載されているため、過払い金が発生するかどうか判断するうえで最も重要な資料と言えます。
3 過払い金が発生するかどうかを計算
取り寄せた取引履歴をもとに、過払い金が発生するかどうかを計算します。
ここで過払い金が発生していると判断した場合は、貸金業者に対し、過払い金の請求を行うことになります。
4 貸金業者との交渉
貸金業者に対し、過払い金の返還請求を行うと、多くの場合、貸金業者から過払い金の減額提案がなされます。
この提案を受け入れると、回収額が少なくなる半面、比較的早期に入金がなされることになります。
他方、減額に納得ができない場合は、裁判で決着をつけるべきことになります。
5 裁判所への訴状提出
過払い金の支払いを求めて、裁判所に訴状を提出します。
過払い金の額によって、どの裁判所に訴状を提出するのかが変わってきます。
通常、過払い金が140万円以下であれば、簡易裁判所に訴状を提出し、140万円を超える過払い金であれば、地方裁判所に訴状を提出します。
6 裁判への出席
最初の裁判の日は、被告は出席しなくてもいいことになっているため、被告である貸金業者は出席しないことが多いです。
そのため、実際の審理は2回目の裁判の日以降に行われます。
7 判決や和解
判決や和解によって、支払ってもらう具体的な過払い金の額が確定します。
もっとも、判決については、控訴される可能性もあるため、控訴された場合は、さらに裁判が続くことになります。